ウミガメは海の中で何を食べている?|海草藻場という食卓の話
ウミガメに会いたいなら、まず「どこでご飯を食べているか」を知るのが近道です。沖縄の海に広がる海草藻場は、アオウミガメにとっての食卓。そこに通ってくる理由と、私たちが距離を取って見守る理由を、ガイドの目線から説明します。
海草と海藻は、まったくの別物
まぎらわしいのですが、海草(うみくさ)と海藻(かいそう)は別物です。ワカメやモズクのような海藻は根を持たない藻類ですが、海草は陸の植物と同じように根・茎・葉を持ち、砂地に根を張って花まで咲かせます。沖縄の浅い砂地には、リュウキュウスガモやウミショウブといった海草が群落をつくり、「藻場(もば)」と呼ばれる海の草原が広がっています。水中で緑の芝生が静かに揺れている場所、と考えていただくと近いです。
大人のアオウミガメは草食になる
意外に思われるのですが、アオウミガメは子どものころは雑食で、成長するにつれて草食に変わります。大人になると海草や海藻を主食にするため、藻場が日々の食事場所になります。しかも同じ場所を繰り返し使う習性があり、食べ跡が残るほど通い続けます。だからこそ「藻場を知っていること」が、ウミガメに会えるかどうかを大きく左右します。広い海を当てずっぽうに探すのではなく、食卓のそばで静かに待つ。これがガイドの仕事です。
触らない、追いかけない、前をふさがない
ウミガメは数分おきに呼吸のため水面へ上がります。このとき進路をふさぐと、呼吸そのものを妨げることになります。私たちが必ず守っているのは3つ。触らない、追いかけない、そして浮上の進路に入らない。横から静かに並走すれば、向こうも気にせず食事を続けてくれるので、結果的に長く一緒にいられます。なお沖縄では漁業調整委員会の指示によりウミガメの採捕が禁止されており、捕まえることはできません。生活の邪魔をしない距離は、いちばん自然な表情が撮れる距離でもあります。